陶佳日誌

作家の手仕事を扱った岡山市内のギャラリーです。骨董も扱っています。

啐啄の会

「啐」(そつ)とは、雛が卵からかえる時、内側から殻をつつくこと、
 
「啄」(たく)とは、母鳥が外から卵をつつくこと、
 
禅用語で、弟子と師匠との関係、機が熟した、まさに得難いその時、 という意味らしい。
 
 
蒜山の「郷原漆器の館」の館長さん、高月さんから、立派な案内状をいただいたので、なんとか都合をつけ、
 
最終日前日、店が終わってから 天満屋美術画廊に出掛けた。
 
漆芸・木工に取り組む若手作家六名の作品展である。
 
 
会場には、小作品から大作まで、素晴らしい作品が・・・!
 
ところが、欲しいと思う作品には、ことごとく あかまるが付いているではないか・・・。
 
大盛況の様子が見てとれる。もっと早くに来るべきだった!
 
残っていた物の中で、私達に購入できるものは、これしかなかった・・・・が、気に入っている。
 
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田代昭夫作のぐい吞み。口縁に金粉が塗られていて、光があたるとキラキラ美しい。
 
高月さんは別会場とのことで、お会いできなかったが、若手作家の方々が、丁寧に説明してくださり、
 
とても興味深いお話が聞けた。
 
なんと、もう生産して無い筈の吹屋のベンガラが保管されており、この機会に分けてもらえたということだ。
 
 
岡山県中西部の吹屋地区は その昔ベンガラの産地で、財をなした大庄屋に広兼邸、西江邸がある。
 
(広兼邸は、横溝正史の「八つ墓村」の映画の舞台になった建物である。)
 
吹屋のベンガラの生産は 昭和の頃にはもう行われていなかったということだが、当時のベンガラが
 
西江邸の蔵に保管されていて、どうぞお使いください・・・ということで、今回、漆器に使用されているとの事。
 
その作家さんのものも、ほとんどが赤○付きで、買えるものがなかった。 悪いな、と思いながら
 
名刺だけ戴いたな、な、なんと、我が家のすぐ近くに住んでらっしゃる!
 
 
 
その時は心残りは全く無かったのだが、・・・・・翌日になって、工業用ではなく、昔ながらのベンガラを
 
この手に残さないでどうする  との思いがふつふつとわき上がり・・・・・ああ また悪い虫が・・・・・
 
 
近いうちに、ベンガラを塗った作品を持って、ギャラリーを見に 作家さんが訪ねてくださることになった・・・。